睡眠衛生と光

目次

・はじめに

・睡眠衛生と光環境

 ・光が及ぼす影響

・生物時計の調節

 

はじめに

睡眠衛生」とは、健康な睡眠の確保を目的として、睡眠関連の問題点を解消し、質の良い睡眠をとるような条件を整えること

①概日リズムの規則性の確保、

②日中や就床前の良好な覚醒状態の確保

③適正な睡眠環境の整備

④就床前のリラックスと睡眠への脳の準備

 

睡眠衛生と光環境

睡眠環境(夜)や光環境(日中)の1日の生活環境整備や生活行動の工夫

睡眠衛生の向上を図る必要性がある。

睡眠環境

睡眠時の環境:覚醒・緊張方向の刺激を減らし脳が自然に眠ろうとする力を妨げないよう整備する

具体例:寝室の音(騒音)、温度、光(照明)、寝具や寝衣に配慮する

光環境

睡眠の概日リズム、光の概日リズム調整作用、睡眠と覚醒との相補的な関係(日中の覚醒状態が良好であれば夜間の睡眠の質も良くなるという好循環を形成し、逆の場合には悪循環に陥る。)など日中の光環境が睡眠に強い影響を及ぼす。

 

光が及ぼす影響

・光は網膜の光受容器で電気信号へ変換される

・光の電気信号は、覚醒・緊張方向の生理的作用をもつ

  →生物時計の調節、脳の覚醒作用、交感神経の亢進作用

   夜間に分泌されるメラトニンの生合成を(夜間の光曝露で)抑制する作用

非視覚的生理作用と呼ばれ、眼球で受光する光の量や時間が増えるにしたがって(当覚醒・緊張方向の刺激が増大する

 

生物時計の調整

規則的な昼夜の明暗変化(日中は光を、夜は暗さの確保)を大切にする

 →生物時計の位相を調節し健康的生活リズムを維持できる

 

非視覚的生理作用

 受光量=〔眼に入射される光の量*波長による重み付け〕×暴露時間

入射光量:光のパワー(光受容器の刺激値)

暴露時間:数十分~数時間

重み付け:相関色温度が高くなるほど、その光源 に含まれる短波長(青色)側の成分が多くなるので、非視覚的な覚醒・緊張方向の作用も相対的に増大する

 

睡眠と光環境の現状問題点と解決方向性 

現代社会における問題点】

光の暴露量が昼間不足、夜間過剰となっている

→①電力および電気照明の普及によって、寝る時間を決定できるようになった。

 生物にとって昼間に相当する時間が延長し、就寝起床時刻の後退につながっている

 ②青色波長成分を多く含む光源(LED)の利用が増加していることも要因

 

【健全な生活のための原則・解決法】

夜間の睡眠と日中の覚醒を適正に確保するためには、分光分布に留意して光の量を 1 日の生活時間帯に応じて使い分ける、

・朝は目覚めを助ける

・日中は覚醒維持のために光を活用する

・夜には余分な覚醒作用を生じないよう不必要な光を減らす

・就寝時はできるだけ暗い環境を確保することが、光環境整備の原則である。

 

 

 

参考文献

光と睡眠衛生 ~小山恵美 澤井浩子