高齢者の不眠特性

目次

・睡眠と脳波

・高齢者の睡眠 生理学的特性

・高齢者の不眠

 

睡眠ステージと脳波

 

 

睡眠段階1

α波の振幅・出現量低下

θ波出現

瘤波・頭蓋頂鋭波(3~5Hz)出現

睡眠段階2

紡錘波(14Hz)・K複合出現

瘤波消失

睡眠段階3

波消失2Hz以下で75µV以上のδ波が20∼50%以上出現

睡眠段階4

δ波出現が50%以上 

レム睡眠

θ波が中心

 

高齢者睡眠の生理学的特性

【睡眠構造】

・REM睡眠頻度と徐派睡眠量の減少

中途覚醒頻度の増加

・徐派睡眠の振幅低下、紡錘波の密度・持続が減少しK-複合が減少する

 →高齢者では中途覚醒・熟眠障害が多い

【概日リズム】

・深部体温のリズム位相が前進気味で振幅低下傾向にある

 →①視交叉上核(概日リズムの中枢)の加齢に伴う神経脱落が関与している可能性

  ②生活習慣と環境をコントロールした条件下では若年者と高齢者では差が乏しく

   生活習慣の影響が大きい可能性が考えられる

・高齢者は多くが退職し日中の活動量が低下している

  仕事がない分、時間の余裕があり生活が前倒しになっている

・高齢者ではアルコール・カフェインの摂取習慣がある方が多い

心理的柔軟性低下に伴い

 環境変化や心理的葛藤などのストレス負荷に対する反応性上昇

・間脳―下垂体―副腎皮質系の反応性亢進によるコルチゾール分泌亢進による

 夜過覚醒形成が重要視されている

・合併症の増加(夜間頻尿、疼痛、痒み、呼吸器疾患、心疾患)は不眠リスク上昇

  

高齢者の不眠

・70歳以上では30%以上に発症する

・うつ症状の発現リスクを上昇させ、認知機能にも影響を及ぼす

 

 

 

参考文献

高齢者における睡眠障害2  井上 雄一