睡眠障害と社会生活

睡眠障害と社会生活 ~駒田陽子~

 

目次

睡眠障害の大別

不眠症の影響

・寝不足の影響

・治療注意

 

睡眠障害

①睡眠の量・質             :不眠症・過眠症

②睡眠中・近接して生じる異常現象    :レストレッグ症候群・睡眠時随伴症状

③概日リズム異常            :概日リズム睡眠障害

④身体・精神の病気に基づいて生じるもの 

不眠症入眠障害中途覚醒、熟眠障害、早朝覚醒)が及ぼす影響

・身体機能・臓器障害の発現促進

 

 

中年男性

入眠障害の持続

高血圧症1.96倍

中途覚醒の持続

高血圧症1.88倍

慢 性不眠症

産業事故リスク7倍

交通事故リスク5%(一般人3%)

QOLの低下

 集中力・記憶・業務をやり遂げる能力・他人との関わりを楽しむ能力低下し

 重症不眠症QOL心不全患者と同等か悪化している

・慢性不眠とうつ

 うつ病発症リスクの要因として不眠が挙げられる

 不眠を呈した者はその後3年間でうつ病発症リスクは4倍

 また、1年間後に不眠が持続していた場合、発症リスク40倍

 

睡眠不足が及ぼす影響

・雇用者の10%近くが慢性的な過眠を抱えている

・覚醒維持中枢の障害に起因するナルコレプシー睡眠時無呼吸症候群突発性過眠症

に次いで、慢性的な睡眠不足に基づいて日中の眠気が生じる睡眠不足症候群は過眠症状を呈する疾患として位置付けられている。

睡眠不足症候群は先進諸国ではかなり多い。

→社会生活上の規則から、週日に必要な睡眠時間を確保できず、週末に睡眠時間を延長

する事で慢性的な睡眠不足を補っている人はかなり多い。

・睡眠不足は①血圧上昇②耐糖能劣化③免疫機能・身体機能へ悪影響を及ぼす

・睡眠時間5時間未満では、糖尿病・耐糖能異常のリスクが高い

・交通事故・ニアミス経験を持つ者の割合は睡眠不足症候群の22%に上がる

・症状:疲労、イライラ、抑うつ、筋肉の痛み、視覚障害、集中困難、認知機能低下

    覚醒度の低下

    注意力や覚醒度を必要とする課題の成績が低下する

・日本の睡眠時間は過去40年間で1時間減少し、夜型化・不規則化が進んでいる

 →日常生活の中で睡眠負債を軽減することが重要となる

 

治療による改善効果

睡眠薬治療は的確な治療を実施することでQOL改善を認めるが

副作用(転倒・筋弛緩、翌日持ち越し)や長期使用による弊害(耐性形成、依存、精神生理機能への影響)を配慮していく必要がある