筋緊張のコントロール

目次

・姿勢と運動の調整

・筋緊張の分類

・治療の階層性

・筋緊張コントロール

 

【姿勢と運動の調整】

・健常人では日常生活上の多くの動作は、脊髄・脳幹の反射により無意識下行うことが可能となっている。それをさらに高位中枢が制御している。脳血管障害では、感覚入力低下によりパターン化された制御が困難になる。

・脳は運動の制御に対して階層性を形成している。

①パターンジェネレーター

 例)脊髄反射、姿勢反射  

 中枢:脊髄・脳幹

②アクションジェネレーター

 例)呼吸・発生・咀嚼・歩行

 中枢:中脳・橋

③凡用性ジェネレーター

 例)ADL等の習慣化され、かつ努力を要しない動作

 中枢:大脳運動野

④外界状況の監視・将来の状態予測・行動の選択・決定。

 例)上記1-3以外の運動

 中枢:大脳連合野

 

【筋緊張の分類】

①神経原性因子

②非神経原性因子

→a)筋・皮膚などの軟部組織変化(連合反応・代償動作・弛緩)、それに起因する疼痛

 b)過剰動作による代償・誤動作による関節・筋等の炎症、合併症の出現及び憎悪

 c)環境・人格(性格・家族背景)、精神面に作用する要素

 

【治療の階層性】

・弛緩期:肩甲帯や骨盤帯の後退・脱臼などが起こりやすい

 関節可動域確保(筋拘縮予防)、筋の柔軟性(血液循環の確保)、環境設定

・痙性期:上肢屈曲・下肢伸展の痙性、非麻痺側の代償

 ベッド上動作の獲得、麻痺側の認知、適切なポジショニング

 パターン化防止、痙性の防止と抑制、過剰な代償の抑制

・回復期:ウエルニッケ肢位・分回し歩行

 随意的動作における筋緊張コントロール

 

【筋緊張コントロール

問題点:非麻痺側優位の運動

    麻痺側の後退、過剰代償動作

    麻痺側を無視した動作

治療:①操作方法:不快感(痛み・違和感)を与えない

   ②他動的治療:あくまで患者の随意的動作の中でコントロール

   ③指示・命令:声のトーン・大きさ・方法・頻度に注意

   ④介助:恐怖感を与えないように・適切な介助位置で

 

 

参考文献

筋緊張のコントロール