良質な睡眠環境と光に着目して
目次
・はじめに
・生体の就寝前準備
・光環境の整備
はじめに
・良質な睡眠のために3要素
①すぐに眠る(入眠潜時が短い)
②ぐっすり眠る(中途覚醒が少なく、睡眠が安定する)
③すっきり目覚める(浅睡眠から覚醒へのスムーズな移行)
・睡眠に影響する2大因子
【寝室環境】
温熱、騒音、光・照明、空気、寝具、香り
【生体因子】
生体リズム、日中覚醒、精神的ストレス、疲労、病気
→今回は光に注目して解説を行う
生体の就寝前準備
【神経活動】
健常者では、就寝1時間ほど前から副交感神経活動が亢進し、30分前に交感神経活動が急速な低下を認める。
興奮状態(刺激的な映像鑑賞)では、入眠潜時が長く、中途覚醒も生じやすく安定性が低下する
【緩和方法】
①ストレッチ
血流を増加させ、筋肉の緊張を和らげ、筋→知覚神経→中枢神経の緊張を和らげストレスを取り除く効果を認めている。これにより、副交感神経活動の亢進・交感神経活動の低下を促進できる
②自然風景やBGMなど精神沈下を感じる映像・音楽の提供
光環境の整備
光の特性の中でも照度と色温度は生体リズムや覚醒度に大きな影響を与える。
メラトニンは照度依存性を示し、照度が高く受光量が多いほど分泌が抑制される。
色温度も高いほど覚醒度が高くなると言われている。
照度(明るさ):月明り0.5lx、一般住宅の居間で150-300xl、オフィス500-1000xl、
晴天時5000-1000xl
色温度(色合い):高、青白い光(昼白色や昼光色の蛍光灯)500-6700k
低、赤みがかった光(白熱灯や電球色の蛍光灯)3000k
【就寝前の光】
色温度の低い赤みを帯びた光ほど気分を落ち着かせる効果を認めている。そのため、就寝前活動時にはしっとした暗さにより覚醒度を下げる必要がある。
照度:30lx以下
色温度:300K以下
【睡眠中の光】
睡眠中もまぶたを通して光に対する反応を認め、注意しなければばらない。
照度30lx以上では睡眠浅くなる。50xl以上では腕・手を使用し遮光動作を認める
照度:0.3―1lx
【中途覚醒時の光】
照度30-75xlでは不快感や交感神経を亢進し、暗すぎると高齢者では転倒・骨折のリスクを認める。
照度3~5xl
【起床前後の光】
起床直前の30分間で照度1000xlまで上昇させる漸増光を浴びると
起床時の眠気の減少、熟眠感の改善、注意集中感の上昇が認められる。
参考文献
良質な睡眠のための環境づくり ~就寝前のリラクゼーションと光の活用
北堂真子