脳血管障害と糖尿病
目次
・糖尿病における運動療法
・糖尿病を合併した脳血管障害患者の特徴
・リハビリの目的
【糖尿病における運動療法】
・患者様自らが行わないと効果がでない。医療者が治すというより、患者様が自分で治そうとするようにアシストするのも大切
・運動療法はスポーツではないが、日頃行っているスポーツを取り入れいることも出来る
・現在行われいている日常生活動作の中で運動療法になりうる動作を選択・提案する
・疾患がある場合は、運動機能が変化する場合があるため、血糖コントロールのみで処方しないこと
【糖尿病を合併した脳血管障害患者の特徴】
①浮腫
②感覚低下(両側性)、異常感覚(灼熱感等)
③体幹筋の筋緊張異常(腹部は低緊張、背部は過緊張)
④末梢神経障害による表在感覚の低下とそれによる失調症状
体幹の協調的な動作が低下し、代償的に体幹を一塊化させた姿勢:腰背部の過剰伸展、骨盤の前傾、腹部膨満が多く認められる。これらの姿勢・運動がより代償を導き、連合反応の出現により筋緊張のコントロール不十分となりやすい。
この姿勢は、体幹表面筋の表在感覚の低下もあるが、両下肢の表在感覚の低下・浮腫によるものが大きいと考えられる。
【急性期のリハビリ】
浮腫による、感覚低下、可動域低下
精神状態(障害の混乱・否定期)や治療課題の難しさ(起きる・座るなど当たり前のことが難しい)による過度なストレスは血糖値上昇を招く。
【痙性期から適応回復期】
空腹時のリハビリは低血糖に注意
薬剤・インスリンを使用している場合は、摂取後すぐの運動療法はインスリン吸収を速め低血糖に注意
低血糖は、脳血管障害に対し痙縮の増大・感覚低下・連合反応出現に繋がる可能性がある
長時間のリハビリは、疲労等から血糖値の上昇を引き起こす。治療後は体内で治療中に使用したブドウ糖を肝臓に蓄えようとするため低血糖が起こりやすい
【回復期以降】
血糖コントロールを中心に再発予防・管理に努める
【感覚障害に対するリハビリ】
・感覚低下
痛みや不快のないもの
ざらざら・でこぼこ等の感覚の入りやすいものや道具の使用
・異常感覚
支持面や接触面に柔らかいタオル・クッションを置き刺激を少なくする
足には靴下・靴を履かせる
慎重に触れる、ゆっくり動作を行う、
強く押さない、持たない、掴まないでソフトに行う
・非麻痺側の感覚低下
非麻痺側は中枢系の障害も20%は引き起こしているため、より感覚障害を起こしている可能性が高い
より使いにくい状態のため、過剰な代償動作に留意する
・浮腫
痙縮の抑制は、近位から遠位にかけて充分な伸長を行う。浮腫は逆となるが、筋を繊維化させるため、先に浮腫の軽減を図ることが良い
浮腫の軽減目的に高い位置にポジショニングすることもあり
・フットケア
本人だけでなく、家族の人にも1日1回傷の有無を確認するよう指導
・体幹筋の筋緊張異常
背部の筋緊張を緩め、腹部の持続的な筋活動を獲得できるようにする
立位にて臀部を後方にもたれさせ、セラピストが後方から腹部を把持し収縮を促しつつ、下肢への体重移動・スクワット・ステッピングを実施する
座位・臥位でのモビライゼーションや腹部賦活
参考文献
糖尿病を合併した脳血管障害患者の理学療法
【リハビリの目的】
①糖尿病そのものに対するコントロール
②脳血管障害に対する運動機能コントロール