睡眠と免疫・サーカディアンリズム

 

 

【はじめに】

睡眠には,身体の状態を一定に保ち恒常性を維持する機能(ホメオスターシス)を有し,覚醒中に損なわれた身体機能を回復させる働きがある

睡眠依存ホルモン:成長ホルモンは成長促進作用,タンパク質,糖,脂質,骨などの代謝作用をもち,身体の成長,細胞の修復や免疫機能とも深く関係している。

 

【睡眠中の免疫活動】

睡眠中、免疫細胞のB細胞によって抗原に対する特異的な抗体を産生し,免疫応答が活発になると,抗原を攻撃する活性化した T 細胞やマクロファージからサイトカイ ンが産生されるようになる。

サイトカインは,①病原体の攻撃 ②睡眠作用をもつ。

眠ることで免疫細胞を産生し,病原菌と戦うことで免疫細胞を増加させるといった生体防御反応のサイクルを持っており感染症やその他の疾病から身体を守る。

→寝不足が続くことで体調不良に陥る原因として,生体防御サイクルの機能低下が関係している。

【学業成績】

就寝時刻・起床時刻が遅いことは学業成績を低くすること,メンタルヘルスの症状を訴える割合が多い

→PC やスマートフォンの就寝前の使用による睡眠時間の減少が問題になっている

 

サーカディアンリズム

サーカディアンリズムは,明暗や温度変化のない環境においても認められることから,生体内機構である「体内時計」によって制御されている。

サーカディアンリズム正確には約 25 時間周期と言われている。

→そこで、地球の自転による24 時間周期に同調するために,太陽光などの光を使用する。 

視床下部の視交叉上核は,サーカディアンリズムを整える機能を有する。

 光刺激により視交叉上核に伝わり神経活動を引き起こしている。光刺激はツァイトゲーバー(ドイツ語で時をあたえるもの”)として機能し,視交叉上核における睡眠と覚醒を制御する。

・入眠前のパソ コンやスマートフォンの操作は,光刺激を受けて睡眠を促すホルモンであるメラトニンの放出を抑制することから入眠を妨げる。このようなディスプレイからの光暴露は一過性の入眠の妨げになるだけではなく,使用を中断してもその影響は1時間以上続くことが言われている

 

 

 

参考文献

睡眠と健康  ~高田真澄~