小脳とアプローチ

目次

・小脳の可逆性

・小脳の運動学習

・小脳と介入

 

【小脳の可逆性】

・長期増強

 ほめて強化することで望ましいパターンの生成回路を強化する方法

・長期抑圧

 叱ってペナルティーを科して間違った生成回路を減弱させる方法

 

【小脳の運動学習】

・順モデル:運動指令(原因)から運動(結果)を予測するモデル

      →運動(結果)までのひとつひとつの動きを事前に予測することで、

       外乱に対応し適時修正が可能

・逆モデル:実際の動作(結果)から運動指令(原因)を作るモデル

      →望んでいる動作(結果)を考えただけで、多くの筋に適切な

       指令(原因)が生成され、動作を達成することが出来る。

小脳と介入

【小脳と歩行】

小脳虫部・中間部は脊髄と脊髄小脳ループを形成している。

→歩行時に多様に変化する外部環境に対する適切な肢間協調の生成・外乱対応

CPGの活動情報を遠心性コピーとして腹側脊髄小脳路を介して小脳へ送られる

各種体性感覚系の情報は背側脊髄小脳路を介して小脳に送られる。

 

【小脳と高次脳】

小脳の運動機能における内部モデルの考え方が高次脳機能に当てはめられている

→例)反復して練習すると、誤差信号として内部モデル形成され、この動作はこの指令を出せば良いと分かり、速くて正確な運動が可能になる。

→言語や思考をはじめとする認知活動においても、速く正確な情報処理を可能にしている。

 

【小脳機能と運動失調アプローチ】

分かりやすい病前の動作を中心に行う

反復練習をする中で、次の動作予測ができるような展開を考える必要

患者様に合った予測運動のバリエーションを増やす

明示的指導(学習を促進する運動の反復指導)は良いとされ、動作の理解をさせたのちに、反復動作は効果的な可能性がある

 

【フィードバックからフィードフォワードコントロールするための反復動作】

問題点:早く明確な区切りのある運動は小脳に影響があるとされているが、

    連続的な繰り返し運動は小脳に影響が受けにくいとされいている。

治療:他の動作の円滑性に繋がるかどうかは疾患や症状によって異なる。

   一方で、エアロバイクや速歩(意識化させない)が動作を円滑化させることも

   多く経験する→つまり、リズムや負荷変化を考慮することも大切

 

【ステップトレーニングの効果】

問題点:歩行やトレッドミルでは、登上線維(下小脳脚)からの発火頻度は非常に低い。

治療:分離型トレッドミルは外乱歩行であり、発火頻度は極めて高い。

    →つまり、歩行練習に加えて、外乱刺激になるような治療戦略が必要

 

【重力控除における練習効果】

問題点:重力控除しない歩行練習では、多くの過剰代償を伴いやすく、

    神経系の異常興奮や使用できる箇所の過使用につながる。

治療:重力を控除した歩行練習では、重力に対する適応を1日毎に考慮するのが難しい  

   が、円滑な動作獲得に効果が期待できる。

 

 

 

 

参考文献

運動失調に対するアプローチ