慢性痛の概要と治療:理学療法

目次

・痛みの概要

・脳での痛みの認知

・治療種類

 

痛みの概要

【役割】

  • 外敵から身を守る
  • 傷を治そうと生体防御系を賦活

痛み系は神経性情報系のひとつでもありますが、液性情報系(免疫系や炎症系、血流を流れるホルモンを介して体の働きを調節)も取り込み多様な情報網がある

多様だからこそ、怒り・悲しみなど複雑な情動が生み出される

さらに、自律系・運動系・精神系まで含み、感覚系には見られない特異的性質

 【定義】

国際疼痛学会

「組織の実質的あるいは潜在的にもとづいて起こる不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがあり」

と定義された。

 【慢性痛とは】

  • 組織の損傷や炎症が治癒しきれずに、それにともない痛みが持続する「急性痛が長引いたもの」

例:リウマチ・変形性関節症などの器質的変化による

  • 新たに発生した病気としての慢性痛症

例:骨折・筋断裂が治癒したにもかかわらず、痛みの拡大・憎悪、自律神経障害・気分障害など全身に影響するもの

【慢性痛のメカニズム】

国際疼痛学会では、

組織の損傷が原因となって発現する慢性痛をCRPS(複合性局所疼痛症候群)と提唱

CRPSの分類

 

Type-1

Type-2

旧症候群

RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)

カウザルギー

要因

組織障害

末梢神経障害

部位

傷害部を超えて広範囲

神経支配領域

 

CRPS Type-2

痛み系は分化度の程度が非常に低い

「強い痛みが持続する事で痛み系の神経回路に生じた歪み、可逆的変化によるもの」

神経損傷

神経回路の変容・交感神経や非侵害性体性感覚が痛み系とコネクションをもつ

非侵害性情報(触覚・温度覚・自律神経・精神・心理系)を痛みとしてとらえる

→ストレスで痛い、触ると痛い・冷えると痛い、、、など

 

CRPS Type-1

組織損傷

損傷ストレスによる中枢神経系の興奮

末梢における痛覚神経と交感神経と機能的結合(痛み系の可逆的変容)

慢性痛の出現

 

・脳での痛みの認知

痛みの発生時

健常者:視床・島・前帯状回・大脳皮質感覚野 が活動

慢性痛患者:視床の活動が認めない、前頭葉・前帯状回・大脳皮質感覚野が活動

    つまり、痛みを感じなくても、情動的な痛みを重ね痛いかのうように認知する

 

・痛みの治療

  • 手術・服薬

  • 認知行動療法                               患者が受け身にならずに、参加型リハビリ痛みがあっても生活できる、QOLを向上させる。理学療法士に依存しやすく受け身の治療から患者が能動的に参加するリハビリテーションを実施する。人生の中のある一部分に痛みがあるという「認知」と、それに伴う個々人に合った「行動を獲得できるようにすること

  • 理学療法:できる運動からスタートし不活動環境を回避

・麻痺で自動運動ができない→電気刺激を使用

・固定や手術直後    

→その部位の支配神経と同じ分節の疼痛部位周辺や対側の同部位で運動や刺激入力

・メンタルケア

・不活動になっていた部位には筋ボリュームアップやパフォーマンス強化に努める