疼痛メカニズム

痛みのメカニズム

目次

①痛みの伝導路

② 痛みの神経

③痛み刺激

④炎症

⑤痛みと心

⑥痛みの抑制系

 

 

①痛みの伝導路

1) 外側脊髄視床

 投射:大脳皮質感覚野

 情報:痛みの局在・質・識別・認識

2) 内側脊髄視床

 投射:前帯状回・島

 情報:痛みに伴う情報・自律・内分泌・運動機能への反応

3) 脊髄網様体路・脊髄中脳路・脊髄橋偏桃体路

 これらの情動・本能に関係する中枢との連絡もとっている

 具体例:痛みが続くと、不安や注意散漫となり

     冷や汗・血圧低下

4) 痛みは脳幹部にも投射しており、脳幹部には運動・姿勢の調節系があるため

   全身の運動調節や姿勢保持とも密接に関連をもっている

理学療法士は全身状態を整えていくように評価することが大切

 

②痛みの神経

Aδ(有髄)線維:体性痛

        経路:脊髄第Ⅰ・Ⅴ層→外側脊髄視床

        種類:痛みの局在・質・識別・認識

C(無髄)線維:内蔵痛

        経路:脊髄第Ⅱ層→内側脊髄視床路・脊髄網様体

        種類:機械的刺激

③痛み刺激

物理的:刃物で切る・刺す  →高閾値機械受容器

熱刺激:温度        →熱受容器(TRPV1受容体)

化学物質:ブラジキニン、ATP)→化学侵害受容器(BK受容体)

※これら全てに反応するのがポリモーダル受容器

 ポリモーダル受容器は環境によって反応性が変化する。

具体例

  • 熱刺激

日焼けした後の入浴or日焼けする前の入浴

同じ温度の入浴でも日焼けしたことにより、受容器の反応性増大し

普通であれば、43°以上で熱くて痛いと感じるのが、

日焼けした後では35°でも熱くて痛いと感じやすい

  • 化学刺激

怪我した後に触られるor怪我する前に触られる

怪我したことで炎症物質が増加し、受容器の反応性増大

つまり、感覚が過敏になり、閾値も低下する

 

④炎症

損傷した組織:Kや ATP

血管:BK (発痛物質)

細胞:ロイコトリエン やプロスタグランジン(PG)の産生

   これら は、B Kによる痛みを増強する作用と血管を拡張 する作用がある。

発赤;血管 (細動脈 )が拡張すると血 流が増大し

   →赤い色素を持つヘモグロビン が増加

腫脹:血管(細静脈) の透過性が亢進し

   →血中から白血球やマクロファ ージなどが放出

   →これらは、組織の残骸など生体にとって不要となったものを貪食

   →これらが血管外へ放出され、外からは腫れて見える。

熱感:血管が拡張し血流が増えることから、発熱がもたらされる。

⑤痛みと心

痛みの4重円理論

人では①侵害刺激(nociception)が②痛みの感覚(pain)として、認識され、それが重度であったり長く継続したりする場合には③苦悩(suffering)を引き起こし、最終的には④疼痛行動(pain behavior)となって現れること。

 

⑥痛みの抑制系

 中脳水道灰白質・巨大細胞網様体・大縫線核

 脊髄後角における痛みの入力を抑制している

 

うつとの関係

疼痛が持続すると不安や抑うつ症状を併発することが多い

【うつ】とは、精神的・身体的なストレスの影響で脳内神経物質(ノルアドレナリンセロトニン)の働きが低下し、脳・身体機能低下を引き起こしている状態。

痛みというストレスが二次的にうつを引き起こす可能性がある。